爽やかな秋晴れの日が続き、私も益子の陶器市で連日大忙し。
…のはずだったのですが、なんと、陶器市の準備中に左手中指を負傷。病院での診察の結果「左中指骨性マレットフィンガー」(第一関節の骨折です)と診断され、翌日、即手術を行い現在、包帯が左手中指にグルグル巻き、今年は自宅で読書の秋、という思いもよらない数日を過ごしています。
陶芸家としては一番神経を集中させる、命の指先が使えなくなってしまい、これでは陶芸はおろか、超絶なギタープレイや華麗なるピアノの演奏もできず、高速ブラインドタッチも極細キャベツの千切りも切れ味鋭いナックルボールも投げられない…。このままでは芸術、IT、料理、野球、各界からほされて全く仕事が無くなってしまうのではないかという人生最大の危機に直面しております。
とまあ冗談はさておき、そもそもどうしてこんな事になってしまったのかというと、巷では様々な説が飛び交っておりますが「硬い地面に指を激しく突いてしまった」という説が一番有力です。陶器市で展示するための小屋の足場の長さを調節するために、地面を少し掘ってザザっと平らにならそうとした一瞬の出来事で、変な形で指を突いてしまったのですね。そばにいた友達にもはっきり聞こえる「パキッ」っという小枝が折れたような乾いた音が今でも耳に残っています。その時は、痛みはほとんど無く(ずっと痛くありませんでした)たまにある、関節が鳴る音かな?と思ってそのまま作業を続けていたのですが、どうも指の様子がおかしく、はめていた軍手を外してみると、第一関節から先が下を向いたまま伸ばすことが出来ない状態。突き指?脱臼?直ぐに近くの病院で診てもらい、翌日には大きな病院の整形外科で検査をした結果、骨折と診断されました。
先生も「指を突いただけでこうなるか?」と不思議に思うくらい複雑な折れ方で(文字だけで説明するのは難しいのですが)「第一関節にある、指先を伸ばすための腱(伸腱)にくっついている1mm程の薄い骨が、腱とともに、関節から剥離してズレてしまい、更に他の骨も傷ついてしまった」のです。そのため手術はその剥離した骨を元の位置に戻し、骨折部が動かない様に圧着させるため、わずか太さ1mmのピンを4本、角度を変えて皮膚を貫いた状態で挿入する、という非常に難しいミリ単位での細かい手術でした。指先の骨というのは、折れてしまうとくっつき難い骨らしく、更に僕の場合は運悪く変な折れ方をしてしまったので、こればっかりは6〜8週間後にピンを抜去してみないとわかりません。まぁそれほどガーンとなっているわけでもなく、むしろこの程度で済んで良かったと思っています。
ただ、この事で周りの方々にいろいろとご迷惑をおかけしてしまう事が大変申し訳無いです。仕事の方ではロクロはしばらく挽けなくなってしまいましたが、2ヶ月間左手の中指が使えなくなるだけですので、読売文化センターの教室も通常通り行いますし、17日から始まるギャラリー匣(さや)での個展も予定通り行います。そして日展もいよいよ開催しました!やはり芸術無くして秋は来ません。是非芸術の秋を堪能しましょう!